煙草の話
両親の家の片づけることになり、
ほったらかしになっていた亡き祖父母の着物を
整理しようと箪笥から出した。
祖父の着物を広げた時に「煙草のにおいがする!」
と母親と二人で騒然となったそう。
調べると袂から、少量の煙草の葉っぱが出てきたそう。
「ああじいちゃんって、本当に生きていた人なんだ、と思ったよ」
祖父は戦争で、今の私たちより若い時に亡くなったという。
幼かった母親は、祖父の顔を覚えていないそうだ。
ろうそくを見ながら酔った頭でぼんやりと、
みんなで彼女の話を聞いていた。
ふと、一人が顔を上げた。
「今、煙草のにおいがした気がしたんだけど・・・」
皆うん、うん、とうなづいた。
この記事へのコメントは終了しました。
コメント